Works
短編を中心とした Kipling のストーリー紹介をしています。あらすじを読むには、タイトルの鉛筆マークをクリック。 


ASTI-TOP][GANESA入り口][Kipling 年譜[作品紹介]



インド用語グロッサリーインド用語ガイド  作品リスト作品分類



あらすじPlain Tales from the Hills

Kipling の最初の作品集。1888年、Calcutta と London で初版が出版された。主に 1886年 11月から 1887年 6月にかけて Lahore の Civil and Military Gazette に掲載された短編を集めたもの。初版には 40編が収められた。

CMG の Plain Tale シリーズは全部で 39編からなる。作者名の表示はなく、通し番号がつけられていた。この中で初版に収められたのは 29編。残り10編のうち2つは、のちに全集(Outwar Bound Edition、Edition De Luxe、Sussex Edition、Burwash Edition)に収められた。残る8編は Kipling の作品ではないと考えられている。


Kipling は、ジャーナリストとして過ごした北インドを背景として、インド帝国におけるイギリス人社会をさまざまな面から描く。また時には、普通のイギリス人の知らない、あるいは興味の対象とならなかった、インドの世界をかいま見せる。

イギリス本国では、その題材の新奇さと異国趣味とがもてはやされ、Kipling は作家としての名声を手に入れた。しかし、たとえば 'Beyond the Pale' における白人と現地の人間との関係など深刻なテーマは、当時は真剣に受け止められることはなかった。

そのほかこれらの作品に感じるべきは、「なんでこんな所まで来て苦労しているのか」と嘆きながらも、助け合い時にはいがみ合い、なんとか自分たちの社会でやっていこうとする、あるいは自分の仕事を全うしようとする、在印イギリス人の『真面目でおもしろ悲しい』人間模様である。一時代前に日本の経済発展を支えた人々とどこか通じるものがあるのがおもしろい。

ところで、ストーリーの舞台として高原の避暑地 Simla がたびたび登場するが、この街は「Olympus」とあだ名され、社交と娯楽だけでなく政治の中心でもあった。1864 年以来、政府は首都 Calcutta の夏の暑さを避けてこの地に移動しており、1年のうち6ヶ月間はここでインド支配が行われたからである。

あらすじあらすじ


あらすじLife's Handicap

Life's Handicap (1891) には、それまでに雑誌や短編集 Mine Own People (1891) で発表された作品に新たに2編を加え、28編(うち1つは詩)が収められた。

ストーリーの舞台はインドまたは熱帯アジアである。Plain Tales に多く見られた面白い出来事をスケッチ的に取り上げる作品よりも、人間の行動や心理を追う『小説らしい』短編が多い。1編の長さも、かなり長くなっている。

収録作品が発表されたのは1884〜1891年。最も早い 'The Dream of Duncan Parrenness' は、Kiplingが18才のときの作品である。全体として新しい作品が前に配置されており、それらの評価が高い。

Kiplingは1889年3月にインドを離れ、東南アジア・中国・日本・アメリカ経由で10月にイギリスに戻っている。しかしその後もしばらくは『インドもの』を書いた。『インド』は彼の創作のリソースであっただけでなく、『需要』もあったのだろう。Life's Handicap が出版される頃、彼は「Dickensの再来」と賞賛される作家になっていた。

Kipling自身が書いた序文には、語り部であるインドの老僧 Gobind と『語り手』の対話という形で、彼の創作方針が述べられている。その中で、Gobind は『語り手』にこうアドバイスする。

「まず書き手と読み手が共に見たことのあるものを書け、書き手の不完全さを読み手の知識が補うように。次に書き手だけが見たことを、その次に書き手の聞いたことを書け。読み手が子供であれば、戦いや王、馬、魔物、象、天使を書け、だが愛を語ることを忘れぬように。」

「この地上は、耳を傾けるものにとって物語に満ち、貧者をその門口から追い払うことがない。貧者は最高の語り部である。なぜなら彼らは毎夜(野宿して)地面に耳をつけなくてはならないのだから。」

『語り手』の「これらの物語は、あらゆる場所、あらゆる種類の人々から集められたものである」という宣言には、Kipling の自信が感じられる。

あらすじあらすじ


あらすじWee Willie Winkie, Under the Deodars,
the Phantom 'Rickshaw,
and Other Stories


インド時代初期の短編集。ほとんどの作品は定期刊行物に掲載され、さらに1888年に 'The Indian Railway Library' として Under the Deodars (No. 4)、The Phantom 'Rickshaw (No. 5)、Wee Willie Winkie (No. 6) の順に出版、1895年に1つにまとめられた。

Wee Willie Winkie は子供を主題とする。'Baa, Baa, Black Sheep' は自伝的作品で、事実そのものではないであろうにしても、Holloway家で Kipling がうけた精神的傷がうかがわれる。

The Phantom 'Rickshaw には、恐い話が集められている。'My Own True Ghost Story' をのぞく3編は、よく知られている。特に 'The Man Who Would Be King' と 'The Phantom 'Rickshaw' の評価は高い。

Under the Deodars は、アングロインディアン(在印英国人)の生活を扱う。出版当時、'The Hill of Illusion' の評価が高かった。

ここに集められた作品は、書かれた時期としては Plain Tales と同じか少し後にあたる。しかし、アングロインディアン社会の出来事がより多く取り上げられており、特に Under the Deodars には Kipling がそれによって評価された「native life」の要素があまり見られない。

もう一つの特徴は、Kipling の子供に対する興味である。彼は6才のときに彼の楽園であったインドを離れ、本国で不本意な下宿生活を余儀なくされた。そのためか、インド生活にとけ込んだ6才くらいの子供が理想的にあるいは共感を持って描かれる。Plain Tales の 'Tods' Amendment' の Tods も「6才くらい」だったが、'Wee Willie Winkie' では不自然に理想化されており、今日評価は低い。

これら3つの短編集は、1889年に第2版が、その翌年にはロンドン版が出版されており、当時の人気がうかがえる。

あらすじあらすじ


あらすじOther Stories

いくつかの作品集から。作品が書かれた年代も、ジャンルも、いろいろです。

あらすじあらすじ





ASTI-TOP][GANESA入り口][Kipling 年譜[作品紹介]