Monthly
Special * May 2008 W. H. Davies |
THE EAST IN GOLD
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黄金の東空
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William Henry Davies (1871-1940) W. H. Davies については、April 2006 を参照のこと。 自然の美しさは、人間が見て「美しい」と感じるために美しいのではない。たとえばコウテイペンギンのヒナの愛らしい外見は、人間を喜ばせるためではなく、進化と適応によりたどり着いた生存に最適な姿なのであって、人間が彼らを発見する何万年も前から変わっていない。 そしてまた、人間の誰もが同じように自然を美しいと感じるわけではない。文化により異なり、時代により変化してきた。イギリス絵画で自然の美が「発見」されるのは、19世紀に入ってからではなかったか。 さらに、同じ光景を見ても、個人個人が持っているものによっても、感動の程度や種類が異なる。 この詩で小鳥が見て囀り騒いでいるとされる「the East」は、ただ単に「東の空」ではないだろう。黄金伝説のある「東方」や、イエス誕生の時に訪れた三博士の住む「東方」といった、有難い世界をイメージしている。 そうした背景が心にあるので、黄金の朝雲が、ただ色がきれいな以上に美しく見えたのだろう。 |