Monthly
Special * April 2008 Robert Browning |
LOVE IN A LIFE
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人生における愛
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Robert Browning
(1812-89) Robert Browning については February 2002 を参照のこと。 同じ屋敷に住んでいながらすれ違いばかりで顔を合わせることがない彼女を、ただひたすら追い求める男。この広い屋敷とは、もちろん世間のこと。 会ったことがあるのか、ないのか。そもそも、自分が捜している相手が誰なのか、わかっているのか。いざ廊下で鉢合わせしたとしたら、「ただのメイド」と、無視するのではないのか。そもそも、残された気配は、同一人物のものなのか。 端から端までくまなく捜すこの男の執拗さは、一方的な空回り状態を感じさせないだろうか。それに、屋敷(=世間)にいるであろう他の人間が全く目に入らないのも、かなり危ないところに来ているようだ。 もっとも、一途に想いを寄せる人間の精神状態はそれに近いものだろう。第三者が客観的に眺めれば、滑稽であったりする。 この "Love in a Life" には "Life in a Love" という続編があり、そこではこの男は完全に「来て」しまっている。 |