Monthly
Special * June 2006 Coventry Patmore |
NIGHT AND SLEEP
|
*****
夜と眠り
|
*****
Coventry Patmore (1823-96) Coventry Patmore については、March 2006 を参照のこと。 19世紀には、夜はまだ本当に『夜』であり、人間の領域ではなかったのだろう。眠ってしまうこと、何も見ないこと。まっとうな人はそうして夜を過ごす。 けれど、ふと目覚めてしまうと、普段は意識の底にあった何かが膨らんで・・・。そんな恐怖。何でもない物音が悪夢のように感じられる、そんな恐怖。夢の中身を目覚めた状態で見てしまうからなのだろうか。 そう思いながらもう一度見てみると、タイトルは "Night and Sleep" なのに、 "Sleep" 「眠り」は出てこない。目覚めてしまった人、起きているもの、眠らない人間たち。ナイチンゲールの歌声を聞いて云々する人も、やはり眠ってはいない。 ナイチンゲールだけは、「夢を見ながら」歌っている。眠っているのだから、生き物にとって恐ろしいはずの夜も怖くはないはずだ。夜起きてナイチンゲールの囀りを聞く人々には、そう感じられるのだろう。 そうして人は、夜の侘びしさをナイチンゲールのせいにする。起きていないで眠ればよいのに。 全体としてこの詩は、不可解な夢のような印象を与える。何かをしているつもりでいて、ふと気づくとそれが別のことにすり替わってしまっており、そこで目が覚める――そんな夢を見ることはありませんか? |