レポート 041100A
レポート課題: 遠足 or 修学旅行シーンを展開せよ
標題: ある高校におけるケース[補足]


ある11月の日曜日。ホテルの広いロビーは、フォーマルドレスや留め袖で華やかだ。ゼミの同窓生の結婚披露宴が終わり、彼女は3階の宴会場から降りてきたところだった。

何の気はなしに、エレベーターの方を見た。ちょうど、37階レストランフロア直通のエレベーターのドアが開いた。そこから出てくる人物のひとりに、彼女の目は釘付けになった。

すらりと伸びた背。長い茶色の前髪。茶色の瞳。
「島村くん・・・。」

あの頃よりも少し大人びてはいるが、それでもあのままだった。上質のおしゃれな服は着ているが、それでもあの日の姿と同じだった。時が止まっていたかのように。

彼女よりも7つ8つ年下に見える彼の傍らには、美しい外国人少女。亜麻色の髪にブルーの瞳。楽しげに語らいながら彼女の横を通り過ぎようとしたとき、彼が持っていた何枚かのイベントのパンフレットが1枚、床に落ちた。

「あの、落ちましたけど。」
彼女はそう言って、大理石の床からそれを拾い上げ、立ち止まって振り向いた彼に差し出した。

「島村くん、あの本、図書室に返しておいたわ。」なぜか、自然にその言葉が出てきた。

彼は一瞬、黙って彼女の顔を見た。そして、あの時と同じ、少し悲しそうな目でほほえんだ。
「ああ、ありがとう。」
そう言ってから、彼は彼女の手からパンフレットを受け取った。

去って行く2人の声が聞こえてくる。
「ジョー、知り合いの方?」
「・・・・・いや。人違いみたいだった。」

「あ、ここで待ってて、クルマ持ってくるから。」

広い駐車場へと遠ざかって行く過去の幻を、彼女はガラス越しに見送っていた。


編集人の一言: この蛇足は、どこが「遠足 or 修学旅行」なのかね?


・ LIST ・ ・もどる・