Monthly Special * January 2008
 William Butler Yeats

List

THE ROSE OF PEACE


If Michael, leader of God's host
When Heaven and Hell are met,
Looked down on you from Heaven's door-post
He would his deeds forget.

Brooding no more upon God's wars
In his Divine homestead,
He would go weave out of the stars
A chaplet for your head.

And all folk seeing him bow down,
And white stars tell your praise,
Would come at last to God's great town,
Led on by gentle ways;

And God would bid His warfare cease,
Saying all things were well;
And softly make a rosy peace,
A peace of Heaven with Hell.



*****



平和の薔薇


天軍を率いるミカエルも
天国地獄のまみえるとき
もしも 天国の戸口から君を見下ろしたなら、
務めなど忘れるだろうに。

神聖なる住まいにあっては
もはや神の戦を心にもかけず、
行って星々を編むだろう
君の髪飾りに。

諸人は皆 ミカエルが頭を垂れるのを見つつ、
白い星々が君を讃えるのを見つつ、
ついには神の大いなる都に至るだろう、
穏やかに導かれて。

そこで 神は自らの戦を終わらせ給うだろう、
全てはよしと言われて。
薔薇色の平和を 優しくもたらし給うだろう、
天国の 地獄との平和を。




William Butler Yeats (1865-1939)

William Butler Yeats については、April 2000 を参照のこと。


Michael: 大天使ミカエル、天使長ミカエルとも。悪魔軍と闘う天使軍の長とされる。


例によって、薔薇は「美」の象徴。真の美がこの世界を究極の平和に導く。

その「真の美」も神が作り給うたものであるなら、なぜ神はその最終兵器を繰り出さないのか。

神はそれを行わない。だから仮定法過去で書かれているのだろう。「もし○○だったら、@@だろうに、」でも現実は「○○でないから@@でない」のだから。

「peace」は平和でもあり和平でもある。ラストを「地獄との和平」とすれば、戦いが終わっても天国と地獄は別個の2つの存在であり続けるように感じられるだろう。

「地獄との平和」とすると、地獄とともに存在する天国、地獄と共有する平和――そういう一体感が出るように思う。



List