Monthly
Special * August 2008 Edward Thomas |
THE PATH
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小 道
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Edward Thomas (1878-1917) 伝記や地誌的な作品を書いていたが、30歳を過ぎてから Robert Frost のすすめで本格的に詩を書き始めた。第一次大戦中フランスで戦死。1920年に Collected Poems が出された。 時代的にはジョージ朝の詩人に分類されるが、作品は現代詩に通じると評価される。イギリスの田園風景の愛着に満ちた正確な描写が特徴。 日本であれば、峠道はたいてい片側が急な深い崖になっているが、この道はどんなところを通っているのだろう。崖の反対側については、何も書いてない。平地が続いているのなら道を崖っぷちに造る理由はないので、やはりお馴染みの山道なのだろうか。 土手は、雨で道が削られないよう、また通行人の転落防止のために築かれたはずで、だから森になった急斜面の区間にだけ造られている。 大人と子供の態度が対比されているが、それはあまり重要ではない。大人の好奇心のなさは、大人が土手には上らないことを印象づける役割が大きいと思う。 確かに子供は土手に上るが、それでもそんなに子供がよく通る場所ではない。それなのに、コケは磨り減り小道がついてしまう。――そんな不思議さへつなげる前提条件なのではないだろうか。 それならいったい、土手の上の小道は、誰の仕業なのだろう? そう思いながらたどっていくと、ぷっつりと土手は途切れる。 その小道を歩いてきた子供も、そこでフッと消えてしまうかのように。 |