MONTHLY
SPECIAL * October 2000 John Keats |
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TO AUTUMN Season
of mists and mellow fruitfulness, U Who
hath not seen thee oft amid thy store? V Where
are the songs of Spring? Ay, where are they? |
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秋によせて 霧と甘い実りの季節、 U 収穫物の只中に汝の姿を見たことのない者があろうか。 V 春の歌はどこへ行ったのか。そう、今どこに? |
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John Keats (1795-1821) Londonの貸し馬車屋の子供として生まれる。外科医になるべく医学を学ぶが、自然や古典の美の世界に開眼、詩人としての自分を自覚する。1816年に最初の詩集を出版してから、結核により26才で短い生涯を閉じるまで、今日に残る情熱的で美しい作品を書き続けた。 To AutumunのTでは様々な収穫物に触覚的・味覚的に感じられる秋が、Uでは収穫作業をする人間の姿として視覚的にとらえた秋が表現される。Vで描かれるのは、聴覚にうったえる秋である。 これら様々な感覚で詠われた秋をTからVに読み進むと、1日のうちの時間の移り変わりと同時に、秋が深まる様子が描写されていることがわかる。 豊穣の秋、労働の秋。しかし、Vには"soft-dying", "mourn", "dies"など、<死>にまつわる語句がちりばめられ、実りの秋のすぐ後には冬が待っていることが示される。そもそもすでにUにおいて、その眠りとの関係から<死>を連想させる"poppies"が、そして"the last oozings" (最後の一滴)という、どこか命の終わりを感じさせる表現が使われているのである。 この詩には、直接色を表す言葉は"rosy"(と駒鳥の"red-breast")しか使われていないが、全体に溢れる<秋の色>が、大変に美しい。リンゴの赤、葡萄色、黄色っぽい瓜類、はしばみ色、蜂蜜の色、麦畑の黄金色、夕焼け空の複雑微妙な茜色。そこに羊の白、ツバメの黒などが点々とアクセントになっている。 この豪華な暖色系の配色は、やがて来る冬(=死)の前の、秋の最後の一瞬の輝きのように見える。この詩がKeatsの死の1年ほど前に書かれたものと聞けば、尚更である。 |