Monthly Special * September 2005
 William Butler Yeats

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WHEN YOU ARE OLD


When you are old and grey and full of sleep,
And nodding by the fire, take down this book,
And slowly read, and dream of the soft look
Your eyes had once, and of their shadows deep;

How many loved your moments of glad grace,
And loved your beauty with love false or true;
But one man loved the pilgrim soul in you,
And loved the sorrows of your changing face.

And bending down beside the glowing bars,
Murmur, a little sadly, how Love fled
And paced upon the mountains overhead
And hid his face amid a crowd of stars.






あなたが歳をとったら



あなたが歳をとり 髪は灰色 居眠りばかり、
暖炉の傍らで舟をこぐようになったら、この本を棚からおろし、
ゆっくりとお読みなさい、そうして あなたの目にかつて映った
やさしい顔たちの夢をご覧なさい、その深い影の夢を。

   大勢が あなたのたおやかに輝く盛りを愛したこと、
   戯れであれ 心からであれ あなたの美しさを愛したことを。
   だが 一人の男は あなたのさすらう心を愛した、
   移ろいゆくあなたの顔の哀しみを愛した。

そうして 熱い炉格子の傍らで背をまるめ、
『愛』は飛び去り
山々の上を空高く 行きつ戻りつ
星くずの中に 顔を隠してしまったと、
もの悲しげにつぶやくのです。





William Butler Yeats (1865-1939)

Yeats については April 2000 を参照のこと。

男が、たぶん心の中だけで、女に言っている。「あなたが歳をとった頃」。男は、これもたぶん、報われることなく女を愛し続けるのだろう。男が想像するところの女の老後は、幸せなのだろうか。


かなり無理にはなるが、全体を"When"の範囲としてみると、余韻が生まれて、いいように思う。「@@しなさい」と完結するよりも、「○○した頃に」どうだというのか、その先に謎が残る。(下の訳)

どちらの場合でも、第2連は年老いた女が見る夢の内容である。


あなたが歳をとり 髪は灰色 居眠りばかり、
この本を棚からおろし、暖炉の傍らで舟をこぎつつ
ゆっくりと読む頃、そうして あなたの目にかつて映った
やさしい顔たちの夢を見る頃、その深い影の夢を見る頃。

   大勢が あなたのたおやかに輝く盛りを愛したこと、
   戯れであれ 心からであれ あなたの美しさを愛したことを。
   だが 一人の男は あなたのさすらう心を愛した、
   移ろいゆくあなたの顔の哀しみを愛した。

そうして 熱い炉格子の傍らで背をまるめ、
『愛』は飛び去り
山々の上を空高く 行きつ戻りつ
星くずの中に 顔を隠してしまったと、
もの悲しげにつぶやく頃に。



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