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つづき



レイディ・ゴダイヴァ: [Lady Godiva]  アングロ・サクソン[Anglo-Saxon]時代の11世紀イングランド、マーシア[Mercia]州太守の妻。

マーシア州太守: 名前はレオフリク[Leofric]。



1040年のこと、マーシア州太守がコヴェントリ[Coventry]の町の住人に重税を課した。その妻ゴダイヴァは、それをやめさせようとした。夫は、「おまえが裸で馬に乗り街をまわってきたら、取りやめてもよい」と意地悪に言う。

考えた末に、ゴダイヴァはそれを実行する。

あらかじめ人をやって触れを出し、あらゆる窓と入り口を閉ざし何びとも外を見てはならぬ、また誰一人屋外に出ていてはならぬことを徹底させた。

それから、自分の髪以外には身を被うものなしという姿で馬に乗り、無事に難題を成し遂げた。夫は約束を守り、町の人々は重税から救われたのである。



コヴェントリの守護聖人とされるゴダイヴァは、実在の人物である。Godiva の名は、古英語で「神の恵み」を意味する名 Godgyfu をラテン語化した形。

アングロ・サクソンの時代には貴族の女性は自分の自由になる資産を持っていた。現実には、当時小さな農村であったコヴェントリは彼女の所領であったから、夫ではなく彼女自身がその税を定め、徴収していたはずだ。

おそらくは、領主としての彼女が領民に税に関して何らかの恩恵を施したことが、伝説となったのだろう。現実の州太守はその夫人と同じく信仰に厚く、教会に多くの寄進をした記録が残っているそうである。

また、 のぞき男 'Peeping Tom' のエピソードは17世紀 Charles二世の時代に付加されたものである。1768年に、コヴェントリの町ではこの『出来事』を記念するパレードが年中行事となったそうだ。



某菓子メーカーのマークは、実は「見てはならぬ」姿を描いたものだとすれば、はて・・・。



おまけ:

1066年、William一世による Norman Conquest (世界史でお馴染み『ノルマン人によるイギリス征服』)がおこる。アングロ・サクソン人の国であったイギリスだが、ノルマン人が支配勢力となった。これ以後社会の仕組みはノルマンの方式に変更され、言語はそれまでのアングロサクソン語(古英語)に取って代わり Norman French (つまりフランス語)が主流となる。

その後しばらくは、支配者・上流階級はフランス語を話し、『英語』は庶民に使われた。しかし次第に『英語』はフランス語を吸収し、姿を変え、やがて13世紀初め頃には社会の表舞台に復活し始める。人間についても、すでに二つの民族が混ざり合い、一つになっていた。

今の英語が非常に単語数が多く、また融通がききすぎて覚えにくい言語なのは、突き詰めればウィリアム王に責任があるということかも。


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