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アモル: [Amour]。 またはクピド [Cupid ・英語読みキューピッド]。 ギリシア神名エロス[Eros]。 有翼の愛の神。
美の女神ウェヌス[Venus](ギリシア神名アフロディーテ [Aphrodite])と軍神マルス[Mars](ギリシア神名アレス[Ares])の息子とする説が有力である。(ウェヌス[Venus] の英語読みがヴィーナス。)
恋愛を自在に支配する<金の矢><鉛の矢>は、あまりにも有名。

プシュケ: [Psyche・英語読みサイキ]。人間の<魂>の人格化である。(古代ギリシア語で「息」を意味するところから、「生命」「魂」を表すようになった。) 蝶の羽根を持つ美少女とされる。

王女プシュケは美の女神ウェヌスの嫉妬を買うほどの美貌の持ち主であった。プシュケに恋をしたアモルは彼女を谷間の宮殿に住まわせ、毎夜暗闇の中で彼女を愛した。

ところがある夜、プシュケは禁を破って、灯の光でアモルの正体を見てしまう。怒ったアモルは彼女を見捨てて去る。

その後プシュケはウェヌスに無理難題を言い渡されるが、何とか解決する。しかし「開けてはいけない」と言われた箱を好奇心から開けてしまい、<冥府の眠り>にとりつかれる。

駆けつけたアモルが彼女を救い、最後には二人は晴れて結ばれる。

やはりクピドやエロスではなくて「アモル」の名が似合う。もちろん、恋の物語なので、例の<お子様>姿ではなく若者として登場している。この神は元来美青年のイメージだったのが、時代と共に低年齢化したようだ。

この物語はギリシア神話ではなく、ローマ時代に書かれた小説中の一挿話で、<愛>が<魂>を求める寓話となっている。2度も好奇心に負けるプシュケには、人間の心の弱さが表されているといえる。

しかし。箱を開けたことについては弁解の余地はないが、そして姉たちにそそのかされたプシュケも悪いが、正体のわからない相手をずっと愛し続けられるものだろうか。ちゃんと知りたいと思うのが人情ではないか。神様は一方的である。

そもそもアモルがプシュケに恋をしたのは、母親ウェヌスの言いつけで、プシュケが醜く卑しい男に恋心を抱くよう秘密工作をしに行ったときのことであった。母親の気に入らない女では隠し妻にしておくよりほかはなかったのだろうが、最後にはキッパリと決着をつけるアモルには、<母親の支配から独立する息子>の構図を見ることもできよう。

なお、プシュケの名は、精神や心理に関係する意味の英単語に "psychology"(サイコロジー:心理学)といった形で使われている。psychometry(サイコメトリー)、psychotherapy(サイコセラピー)などの語は日本でもお馴染みのものとなった。

最初は、この絵が90度反時計回りになった状態で、しかも人物の上下が逆になっていたのですが、・ ・ ・。

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