Monthly Special * June 2007
 Samuel Rogers

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A WISH


Mine be a cot beside the hill;
A bee-hive's hum shall soothe my ear;
A willowy brook that turns a mill,
With many a fall shall linger near.

The swallow, oft, beneath my thatch
Shall twitter from her clay-built nest;
Oft shall the pilgrim lift the latch,
And share my meal, a welcome guest.

Around my ivied porch shall spring
Each fragrant flower that drinks the dew;
And Lucy, at her wheel, shall sing
In russet-gown and apron blue.

The village-church among the trees,
Where first our marriage-vows were given,
With merry peals shall swell the breeze
And point with taper spire to Heaven.




*****



願 い


僕の家は丘の近くのコテージがいい。
ミツバチの羽音は 耳にやさしく。
水車を回す 柳の小川、
段々になって、ゆっくり流れて。

藁葺き屋根の軒下
泥の巣で ツバメがさえずる。
巡礼は 戸口の掛けがねを開けて、
食事をともにしよう、喜ばしい客として。

ツタの茂る玄関を囲んで 萌えて
露を受ける 香しい花々。
そうしてルーシー、糸車を回し 歌う
朽ち葉色の服に 青いエプロン。

木々に囲まれた 村の教会、
そこで昔 二人が永遠を誓った、
そよ風は 楽しげな鐘の音に満ちて
尖塔と同じに 天を指せ。




*****



Samuel Rogers (1763-1855)


銀行家の息子として生まれ、裕福であった。1792年に出版された詩集は人気を得て、一躍文学界の一員となった。1850年には桂冠詩人の話もあったが、辞退している。


この詩では、自然に囲まれた穏やかな住まいが理想的に描かれている。繰り返される「shall」は、「〜させよう」というより、「〜であって欲しいものだ」という気持ちだろう。

さて、ではこの『僕』の願いはどの段階にあるのだろう。

1.ルーシーと結婚生活を送っている。そこで新しい住まいを夢見ている。(自分たちが式を挙げた教会を思い出している。)

2.ルーシーは恋人で、まだ結婚していない。(結婚したらこんな家がいいと思っている。また、挙式した教会を幸せに思い出せる生活ができたらいいと思っている。)

3.ルーシーの存在も含めて、全てが願望である。(恋人もいない。自分と結婚してくれる女性を思い描き、結婚当初を幸せに思い出せる生活を想像し、自分の理想の未来を夢見ている。)

私は、残念ながら3番が似合うと思う。



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