Monthly Special * January 2007
 William Butler Yeats

List

THE SONG OF THE OLD MOTHER



I rise in the dawn, and I kneel and blow
Till the seed of the fire flicker and glow;
And then I must scrub and bake and seep
Till stars are beginning to blink and peep;
And the young lie long and dream in their bed
Of the matching of ribbons for bosom and head,
And their day goes over in idleness,
And they sigh if the wind but lift a tress:
While I must work because I am old,
And the seed of the fire gets feeble and cold.



*****



老 母


夜明けに起きて、膝ついて 息を吹くわな
火種がちらちら 真っ赤になるまで。
それから床磨きにパン焼き掃除をせにゃ、
星がちかちか のぞく頃まで。
若いあれらは 寝床に寝そべって夢を見る
リボンが胸やら頭に映えるかなんぞと、
のらりくらりで 日がな一日、
風で髪がほつれはせんかと気にしておるわ。
それでも あたしゃ働かにゃならん、年寄りじゃから、
火種も衰え冷えてくるわな。




William Butler Yeats (1865-1939)

William Butler Yeats については、April 2000 を参照のこと。


Yeats によれば、若い者の無為怠惰をなげく老女を詠った作品なのだそうだ。

お洒落のことしか考えない若い者たちは、この老女の娘なのだろうか。だとしたら、育て方が悪かったのだろうか?

そうとは限らない。親の力よりも社会全体の圧力の方が強いことは多い。世間がそうなっていけば、そうなってしまう。また、生活が豊かになれば、それが当然と思い、誰がその豊かな生活を築いたのかなど考えない。その生活を続けようと望むなら自分が努力しなくてはならないことに気づかない。

親がいつまでも面倒を見てくれるわけではない。「火種も衰え冷えてくる」のは、その暖炉を維持する老母のことでもある。

この老母が死んだら、娘たちは困るだろうか? いや、家の中は放りっぱなし、まともな食事ができなくても、それで平気でいるだろう。だとしたら、老母の働きはどうしようもなく虚しい。



List