Monthly Special * August 2004
 Sir Walter Scott

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HUNTING SONG


Waken, lords and ladies gay,
On the mountain dawns the day,
All the jolly chase is here,
With hawk and horse and hunting spear!
Hounds are in their couples yelling,,
Hawks are whistling, horns are knelling,
Merrily, merrily, mingle they,
"Waken, lords and ladies gay."

Waken, lords and ladies gay,
The mist has left the mountain gray,
Springlets in the dawn are streaming,
Diamonds on the brake are gleaming;
And foresters have busy been
To track the buck in thicket green;
Now we come to chant our lay,
"Waken, lords and ladies gay."

Waken lords and ladies gay,
To the greenwood haste away;
We can show you where he lies,
Fleet of foot and tall of size;
We ca show the marks he made,
When 'gainst the oak his antlers frayed;
You shall see him brought to bay,
"Waken, lords and ladies gay."

Louder, louder chant the lay
Waken, lords and ladies gay!
Tell them youth and mirth and glee
Run a course as well as we;
Time, stern huntsman! who can baulk,
Staunch as hound and fleet as hawk;
Think of this, and rise with day,
Gentle lords and ladies gay!




*****





狩りの歌


目を覚まされよ、陽気な殿方淑女方、
山ぎわに朝はきざして、
愉快な狩りが始まりますぞ、
鷹に馬、槍をととのえ!
犬どもは三頭二頭と吠え立てて、
鷹の口笛、ひびく角笛、
楽しげに、楽しげに、ひとつとなって、
「目を覚まされよ、陽気な殿方淑女方。」

目を覚まされよ、陽気な殿方淑女方、
鈍色の山を霞はすでに去り、
暁に清水は細く湧き流れ、
灌木にダイヤの露の煌めいて。
森番はすでに精出し緑の林
牡鹿を追うておりますぞ。
さあ我ら 歌うたうとき、
「目を覚まされよ、陽気な殿方淑女方。」

目を覚まされよ、陽気な殿方淑女方、
緑の森へと急がれよ。
脚速くして丈高き
獲物のもとへと連れ申そう。
牡鹿の枝角オークの幹に
つけた跡をば見せ申そう。
その鹿の追い詰められるをご覧あれ、
「目を覚まされよ、陽気な殿方淑女方。」

さらに大きく、さらに大きく、歌の声
目を覚まされよ、陽気な殿方淑女方!
若さも浮かれも喜びも
やがては終わる、我らも同じ。
時は狩人、容赦なき!  突然歩みを止めまする、
猟犬ほども忠実に、迅速なること鷹に似て。
このことをしかと心に、日の出とともに起きられよ、
やさしくも陽気な殿方淑女方!




*****



Sir Walter Scott (1771-1832)


スコットランドのエディンバラ生まれ。イングランドとスコットランドの国境地方の古い物語やバラッドに早くから親しんだ。

この地方で収集したバラッドを編集し Minstrelsy of the Scottish Border (1802-03) として出版したのに続き、スコットランドの歴史を題材にした物語詩を次々と発表した。これらは人気を博したが、やがて詩人としての名声は Byron に及ばないと感じた彼は、小説に転じた。

最初の小説 Waverley (1813) は匿名で出版され、以後の作品には『Waverley の作者』という名が使われたので、まとめて Waverley Novels と呼ばれている。

初期にはスコットランドを舞台とする歴史小説を書いたが、1819年の Ivanhoe では背景をイングランドに移した。それ以後、イングランドやフランスの歴史を題材とした作品によって、国外にまで人気が広がった。


Scott についてよく知られていることの一つに、『負債』がある。倒産した出版社 James Ballantyne & Co. の共同出資者として£114,000 の負債を背負い、返済のための無理がたたって命を縮めたといわれる。

また、1822年、国王ジョージ4世のスコットランド訪問に際して、王にタータンの着用を薦め、結果として、19世紀を通じて続いたタータン流行の仕掛け人となった人物でもある。


この詩は、貴族の娯楽である『狩り』にこと寄せて、青春が短いことを言っている。悔いのなきよう、寝過ごすことなく目一杯楽しむべし。

『時』はたちまちに過ぎる。エキサイティングな狩りも、かならず終わりになる。犬もタカも、主人の一声で活動をやめる。その終わりの時に人々の中心にあるのが狩りの獲物、つまり死であることは、象徴的だ。

一つの狩りが終わり、またどこかの森で狩りが始まり、終わる。一つの狩り、一つの人生、一つの文明、あるいは一つの天体。この世界は、いろんな大きさの始まりと終わりとを織り交ぜて、続いている。

しかし、そんなことは抜きにして、とりあえず今この時を楽しみたいものです。



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