Monthly Special * June 2003
 Samuel Taylor Coleridge

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SOMETHING CHILDISH, BUT VERY NATURAL


If I had but two little wings
 And were a little feathery bird,
  To you I'd fly, my dear!
But thoughts like these are idle things,
   And I stay here.

But in my sleep to you I fly:
 I'm always with you in my sleep!
  The world is all one's own.
But then one wakes, and where am I?
   All, all alone.

Sleep stays not, though a monarch bids:
 So I love to wake ere break of day:
  For though my sleep be gone,
Yet while 'tis dark, one shuts one's lids,
   And still dreams on.



*



子供っぽいことだけど、でも


もしも 僕に ただ小さな翼があったら
 それで 僕が 小さな鳥だったら、
  君のところへ 飛んでいくよ!
だけど そんなこと考えても どうにもならなくて、
   やっぱり 僕はここにいるんだ。

でも 眠ってしまえば 君のところに 飛んでいく。
 そうして いつだって 君といっしょ。
  夢の世界は みんな 思いどおり。
それでも そのうち目が覚める、「ここは どこ?」
   ほんとうに、独りぼっちだ。

眠りは ずっとは 続かない、たとえ王様が命じても。
 だから 夜明け前に目を覚ますのが 好きなんだ。
  だって 眠りが終わってしまっても、
暗いうちなら、まぶたを閉じて、
   まだまだ 夢が見れるから。



*



Samuel Taylor Coleridge (1772-1834)

Coleridge については August 2002 を参照のこと。


どこにでもありそうな、恋する気持ちの表現。しかし、コールリッジの名前を見ると、大切なのは「君」よりも「夢」なのではないかと思いたくなる。

――ずっと夢の世界にいたいが、眠り続けるのは不可能だ。夜明け前に目を覚まし、起きてはいるが眠っているつもりで目を閉じて、夢の続きを展開する。それは確かに健康的な夢の見方だが、しかしまあ、やっぱり「あれ」だなあ――と、阿片につい手が出るコールリッジの姿を想像してしまう。(ご専門の皆様、本当のところはどうなのでしょうか?)



「小鳥になって恋人のもとに飛んでいけたら」と自分自身の発想で思ったことのある人は、どれくらいいるだろう。これは「恋いこがれる」気持ちを表現するための一つの型であるような気がするのだが。

神話の神様のように自由自在にどこにでも出現できれば、ことはもっと簡単かつ効率的だ。現代人はそれを超能力と呼んでいる。



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