Monthly Special * February 2001
 Ben Jonson

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Hymn to Diana

Queen and Huntress, chaste and fair,
   Now the sun is laid to sleep,
Seated in thy silver chair
   State in wonted manner keep:
      Hesperus entreats thy light,
      Goddess excellently bright.  

Earth, let not thy envious shade
   Dare itself to interpose;
Cynthia's shining orb was made
   Heaven to clear when day did close:
      Bless us then with wished sight,
      Goddess excellently bright.  

Lay thy bow of pearl apart
   And thy crystal-shining quiver;
Give unto the flying hart
   Space to breathe, how short soever:
      Thou that mak'st a day of night,
      Goddess excellently bright!

月の女神を贊えて

女王にして狩人、純潔かつ美なるものよ、
   太陽が眠りに横たわりし今
銀の玉座につき
   常のごとく 威厳を示したまえ。
      宵の明星が その光を請い求める、
      いとも眩き女神よ。

地球よ、汝の妬みがましき影が
   障りとならぬようにせよ。
シンシアの光り輝く球体は
   一日が閉じる時 天空を清めるために創られしものゆえ。
      その折には 願わるる景色を我等に見せたまえ。
      いとも眩き女神よ。

真珠の弓を脇に置き
   水晶の箙
(えびら)を脇に置き
翔けゆく雄鹿に
   息つく暇
(いとま)を与えたまえ、たとえ束の間といえども。
      夜をも昼とする汝、
      いとも眩き女神よ。



Ben Jonson (1572-1637)


Elizabeth 朝時代の劇作家。Shakespeare の最大のライバルであった。Jonson の最初の傑作 Everyman in His Humour 『十人十色』のキャストには Shakespeare も含まれていた。

戯曲、仮面劇、詩、批評など多くの分野で活躍し、一時は文壇の大御所と目された。1616年(Shakespeare 没年)には国王 James 一世のもとで実質的に初代の Poet Laureate となっている(正式には任命されていない)。

James 一世の没後は急速に勢力を失い、晩年は不遇であった。しかし彼の才能に対する同時代人の評価は、"O rare Ben Jonson" 「類稀なるベン・ジョンソン」という、Westminster Abbey にある墓碑銘に要約される。

作風は Shaespeare とは対照的に古典主義的で、その笑いは風刺精神にあふれている。

この詩は月の女神 Diana に捧げる賛歌である。感情的になることなく、まさに古典主義的に整った、美しい1枚の絵という印象を与える。

「銀の玉座」「真珠の弓」「水晶の箙」と美しい視覚的イメージ、惑星を擬人化する宇宙感覚、そして古典としての神話。<こころ>でなく<頭>で感動する詩と言えばよいだろうか。

Poet Lauriate と Westminster Abbey については January 2000 を参照のこと。

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