MONTHLY SPECIAL * August 2001
 Old English Poetry

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A Riddle


A creature came travelling, wondrous along the waves,
It called out in comeliness from ship to land,
Loud was its din; terrible its laughter,
Dreadful on earth; sharp were its edges,
It was fierce in malice, in battle, too sluggish,
Bitter in battle-deeds; wooden walls it shattered,
Cruel and ravaging. It spread about a baleful charm;
It spoke with cunning about its own nature:
"My mother is among maidens the dearest,
She is my daughter grown to greatness,
As is known to men among the people,
She shall stand with joy on the earth everywhere."



*


謎  詩


あるものが やって来た、波間に威容を誇り、
船から陸<おか>まで 麗しく呼ばわった、
その轟きは大きく、その笑い声は凄まじく
この上なく恐ろしく、その縁は鋭く。
仇なす心において また戦においては 猛々しくも、動きは鈍く、
情け容赦ない闘いぶり、木壁をば木っ端微塵に打ち砕く、
残忍かつ狂乱の。 不吉な呪いを撒き広め、
そやつは 己の本性を小賢しく語った。
「我が母は いとしき乙女の中の乙女、
我が母は 我が娘、育ちて偉大となる、
人の世に広く知られる如く
この世の至る所に 喜びを持ちて立つであろう。」


・ LIST ・

 

西暦700〜1150年ごろの英語は Old English (古英語)と呼ばれる。その起源は、5世紀の中頃からブリテン島に移住したアングロ・サクソン諸集団が用いていた言語である。彼らは現在のデンマーク、ドイツ北部、オランダにあたる地方からやって来たため、Old English はドイツ語と近い関係にある。

しかし、ドイツ語が現在に至るまで屈折(文法的な働きを表す語形(主に語尾)の変化)を保っているのに対して、英語ではそれが極度に単純化されているため、Old English は現代の英語とは一見別の言語であるかのように異なっている。

英語は様々な言語を取り込み、あるいは影響を受けて現在の形になったのだが、なかでも英語に大きな影響を与えた出来事は、1066年の the Norman Conquest (ノルマン人による征服)である。

ノルマン人はもともとはヨーロッパ北部・西部海岸を略奪したヴァイキング(北欧海賊)で、9世頃からフランス北西部(ノルマンディー)に定住し、11世紀までには言語・文化共にフランス化していた。

したがって、ノルマン人による征服以後しばらくは、フランス語が支配者層の言語であり、学問と宗教の言語としてはラテン語が用いられ、英語は一般大衆の言語として生きのびた。英語が社会的地位を復活するのは13世紀になってからのことであった。

ラテン語はすでにアングロ・サクソンの時代から宗教の言語として使用され、抽象概念を表現する能力を英語に与えていたが、この時期にはフランス語の単語が英語に取り込まれ、英語はさらに微妙な表現をすることが可能となった。

1150〜1500年頃の Middle English (中英語)は Old English の複雑な語尾変化を失い、現代の英語に近づいている。(Old English と Middle English との区分は、1100年ともされる。)



この謎詩は、10世紀の写本 The Exeter Book に収められたものの1つを現代語訳したものである。

***

さて、実際に謎々に答えてみてください。上の詩は何のことを言っているのでしょうか。

次のは Old English ではありませんが、こちらはいかがでしょう。

Brothers and sisters have I none.
This man's father is my father's son.
Who am I?

謎詩の答

 

 

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