1892年

結婚と2度目の日本旅行


1892年1月18日、Kipling は Carrie Balestier と結婚。彼女は、前年になくなった親友 Walcott Balestier の妹である。

London のAll Souls' Church で行われた式では、Kipling の従兄弟 Ambrose Poynter と友人 Henry James がそれぞれ Kipling と Carrie の介添人をつとめた。(Henry James は Carrie が気に入っていなかったようだが。)

2月3日、クック社の世界一周航海のチケットを手に、夫妻は Liverpool から旅立つ。中旬にアメリカ Vermont 州 Brattleboro に住む Carrie の弟を訪ね、各地を観光したのち、4月4日に日本に向けて出発。

4月20日に横浜に到着、6月27日まで日本に滞在する。横浜の他は東京、鎌倉、箱根と、横浜近辺で過ごしている。6月3日に横浜で地震を体験。6月9日にニューオリエンタル銀行が倒産。

少額の引き出しをしようとした Kipling に、支配人はもっとたくさん下ろしておくように勧めたのだが、彼はそうせず、その午後になって倒産が明らかになった。損害は£2000。彼の提案により、銀行は預金者に対して1年間の猶予をもってそれぞれの預金額の25%を支払うことになった。

Kipling に残されたのは、ニューヨーク銀行の預金 $100。世界旅行を切り上げ、使用しないクック社のチケットを現金化した。しかし、日本を出発するまで、何事もなかったかのように滞在を楽しんでいる。

この旅行中 The Times に送られた旅行記は、Letters of Travel: 1892-1913 (1920) に入っている。

Kipling's Japan : Collected Writings, Hugh Cortazzi & George Webb ed. (Athlone Press: 1988) には、2回の日本旅行で書かれた旅行記がまとめられている。